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ごあいさつ
会長 蔵堀祐一
富山県南米協会は、南米諸国との緊密な交流のもとに友好親善を図ることを目的に昭和54年10月、県及び市町村、南米訪問経験者、海外移住家族会など関係の皆様の、ご理解とご支援により、設立されました。
かつて富山県から南米諸国には、明治末期以来、2千人を超える移住者を送り出しております。昭和の初めに県が、サンパウロ州にアリアンサ富山移住地(3,250㌶)を確保された奨励策も大きく貢献しております。
戦後、移民が再開されましたが、国内の高度成長に伴い、次第に縮小しました。
一方、その間に現地では、ブラジル、アルゼンチン及びペルーの3カ国にそれぞれ富山県人会が結成され、県内には、留守家族により海外移住家族会ができております。さらに、昭和47年にYKK、不二越など県内企業によるブラジルへの工場進出が相次いだにもかかわらず、未だ県の行政、経済、文化等各界を挙げての交流組織が無い状態でありました。
そのような背景の中、昭和49年に中田知事が率いる「第4回富山県青年の船」の南米3カ国訪問、52年には、アリアンサ富山村開村50周年記念式典に際し、県内から経済界を含む118名のチャーター機による訪問が、外務省など関係者を驚かせました。
これらの訪問は、主に移住者の労をねぎらい激励する目的でありました。ところが、実際に訪問してみると、かつて南米に夢を抱いて雄飛された本県出身者が、筆舌に尽くし難い苦難を克服し、今の安定を築かれた忍耐と開拓の情熱に打たれ、さらに日本が失いつつある古き良き伝統が開拓村に残っており、南米から視点を変えて客観的に自国と自身を振り返るための絶好の機会になることが認識されてきました。
このような交流が大きな原動力となって機運が高まり、当時の中田知事に名誉顧問に就任いただき、参議院議員を務めておられた高平公友先生を初代会長として富山県南米協会が発足いたしました。
以来、本会は、南米との友好親善を推進された中沖前知事をはじめ、県議会や市町村、企業の皆様の暖かいご理解とご支援のもとで多彩な事業を続けてまいりました。昭和60年には、そのユニークな活動が評価され、外務大臣表彰を受けております。
我が国は、過去に長い不況と余剰人口への対応に苦慮し、国策として海外移住を奨励した時代を経験し、近年は逆に南米から日系人が県西部を中心にピーク時(2006年)約4千6百人も在住するように変化し、その後は、経済の急変に伴い在住者が減少しております。
南米諸国は、世界でも恵まれた自然環境を基礎に、資源及び食料の供給基地として成長が期待される地域であります。徒前にもまして、本県出身の多数の移住者及びその子弟が活躍される現地との交流を深めることは、極めて重要な意義があるものと確信し、本会も、今後は時代に適応した新たな課題にも取組んで参りたいと考えております。
これまで、ご支援をいただいた石井前富山県知事、現名誉会長の新田富山県知事をはじめ、関係の皆様に感謝を申し上げますとともに、会員の皆様のご健勝とご多幸をお祈りし、今後の富山県南米協会に対するご協力を心よりお願い申しあげまして、あいさつといたします。