富山県南米協会

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活動報告

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活動報告

2010年 富山県南米親善訪問団
節目の年に友好の絆を強化し帰国

富山県人のブラジル移住百周年、ブラジル富山県人会創立五十周年、富山県・サンパウロ州友好提携二十五周年を記念する節目の年に、富山県南米協会が富山県の支援を得て、派遣した富山県南米親善訪問団(団長 鹿熊正一県議会議長)五十三名が、友好の絆を強化して帰国した。

友好提携25周年

富山県・サンパウロ州友好提携二十五周年 州教育局長官と知事

 7月29日(木)午後、サンパウロ州教育局庁舎において、富山県・サンパウロ州友好提携二十五周年の記念式典が行われた。先ず、州政府教育局パウロ・レナト・コスタ・ソウザ長官があいさつに立ち、富山県の県費留学・研修員制度をはじめ、近年のサンパウロ大学への友好記念奨学金制度、多文化共生事業等が、同州に日本文化を伝え、相互の理解と親善に役立っていることなど感謝の言葉が述べられた。次に富山県の石井隆一知事が、情報技術の発達等により両県州間の距離は縮まっており、これまでの交流事業の成果を踏まえ、さらに友好関係の発展に努めていく意思を伝えられた。
 そして、サンパウロ大学日本文化研究所に寄贈する書籍など記念品が交換された後、即席で、富山県の「おわら節」をはじめ、郷土芸能が披露された。

topアリアンサ富山村訪問

松沢謙二氏の墓参り松沢謙二氏の墓で

 1927年に、県が希望者を公募して、集団で本県からの開拓移民を入植させたアリアンサ富山村は、同州ミランドポリス市の郊外にあり、現在、40世帯余りが、牧畜や野菜、果樹づくりで営農している。州内というもののサンパウロ市からは約600㎞も離れている。訪問団は、週末のため飛行機便が不便で、やや遠隔地の空港までバスで移動した。

村に至る付近の地勢
日本語学校の授業 日本語学校の授業風景

 日本とは、季節が逆転しており、現地は冬の乾季であった。
 道路沿線の側面には、蟻塚(お地蔵さんサイズ)が約10m間隔で並ぶ。テライトと呼ばれる赤土の大地に、サトウキビ畑がまばらに続き、他の多くの土地は牧草地が占めるが、緑草ではなく枯草状態の土地が広がる。牧場であるが、そこには、水がないので干からびて痩せ細って背中にこぶのある白い牛が点在する。広大な土地は地平線まで広がり、約500mないし1㎞間隔ごとに、幅員約30mで深さ約10mの窪地が走り、そこは、わずかに水気があるので樹木帯となって存在し、その帯の中央には湿地又はわずかの水が流れる1m以内の青線(日本では公図上の水路)がある。これほど水がない土地では、粗放農業にならざるを得ないと思われる。先人の尋常ならざる苦労が偲ばれた。
 ゴム園に降り立って見ると、管理されたゴムの木の林の中で、日陰であるにもかかわらず、土が砂時計のように水気を含まず、砂ほこりが立つ。1927年の富山村開拓の先遣隊の松沢謙二氏の墓に参り、集会所に戻り構内にある元知事吉田実氏の揮毫による石碑を観察した。石碑には、「富山移住地発祥の地第三アリアンサ移住地」とあり、日本国富山県知事吉田實書と署名されていた。 
 交流会の前に、石井知事と鹿熊議長が、記念植樹をされた。
 周囲の土は、粒子の細かい粉状であり、雨が降れば、ぬかるむので車のタイヤがもぐって脱出が困難になるという。

topアリアンサでの交流会

アリアンサ 交流会 アリアンサでの交流会

 集会所の一角にある日本語学校は、新任の大木伸宏先生が1週間前に着任したばかりであったが、既に活動していた。当日は、生徒が約10人出席し、ものの数え方の単位(数詞)の勉強中であった。
 交流会は、現地から佐藤克郎同地区日伯文化体育協会長ら約150人が参加し、全員で入植開村以降の物故者に対し黙祷を捧げた後、昼食を兼ねて、村人の手作りの料理でのもてなしにより行われた。
 県人会アリアンサ支部長の南勇氏の歓迎のことばを受けて、石井隆一知事及び鹿熊正一県議会議長が、開拓にあたった先人の筆舌に尽くせない努力をしのび、それぞれ挨拶の言葉を述べられ、入植以来の苦労をねぎらわれた。 

サッカー 南アフリカ大会日本代表 田中マルクス闘莉王選手 祖母 闘莉王選手の祖母と父親

 会場には、ブラジル連邦(国会)議員やミランドポリス市長ジョゼ・アントニオ・ロドリゲス夫妻などの来賓のほか、今年のワールドカップ・サッカー南アフリカ大会日本代表の田中マルクス闘莉王選手の祖母照子さん(砺波市庄川町青島出身、82歳)及び病気回復された父親で弁護士のパウロさんも、約120km離れたまちから駆けつけ、元気な姿を見せた。
私たち親善訪問団を迎えての交流会のために、予め手作りの料理を準備された村のご婦人方及び肉を焼いてくださった若者たちに心から感謝申し上げる。

topサンパウロでの式典

富山県人ブラジル移住百周年、ブラジル富山県人会創立五十周年、富山県・サンパウロ州友好提携二十五周年の記念式典 式典での鹿熊議長あいさつ

 8月1日(日)午前10時からサンパウロ市内において、富山県人ブラジル移住百周年、ブラジル富山県人会創立五十周年、富山県・サンパウロ州友好提携二十五周年の記念式典が開催された。参加者は、現地の県人子弟などの皆さん約350人に加え、富山県南米親善訪問団53名のほか、サンパウロ州、同市の代表、連邦下院議員など来賓多数が出席して、盛大にとり行われた。
 なお、この席において、100年前に富山県からブラジルに移民した扇浦祐蔵(氷見市 阿尾)、内山仁之助(富山市 豊田)及び青木吉太郎(富山市 鍋田)の3家族の子孫が、図らずも揃っての出席が実現した。
 三家族の子孫のうちで、最初から式典参加が見込まれたのは、扇浦祐蔵さんの孫ユーゾウさん(79)と姉の長森ナミエさん(82)だけであった。そして、内山仁之助さんには、長女の内山幸子さん(88)が存命であることが、数日前に幸子さんの孫のリナさん分からの連絡で判明した。最後は、青木吉太郎さんの家系で、3日前から調査が開始された。

北日本民謡舞踊連合会 郷土民謡 郷土民謡の披露

 訪問団の一員として、参加した青木照夫さん(68 富山市 鍋田)が20年前に吉太郎氏の孫にあたる白人の容貌をもつ青年を自宅に招いた以後、音信が絶えていた。式典の前夜になって同じく孫のナイール青木さん(72)と連絡がとれ、ナイールさんは、交流会に姿を見せ、感激の対面となった。県人会副会長の市川利雄さん(62)らの組織・調査力に敬意を表したい。これら百年目の家族は、記念写真を撮るなど目出度さに花を添え、石井知事から感謝状が送られた。しかし、青木さんの子孫については、しばらく連絡が途絶え、前夜にようやく出席が確認されたので、感謝状は、後日、届けられる。 
 記念祝賀会では、北日本民謡舞踊連合会の竹氏修さんら10名による郷土民謡が披露され、声楽家の岡田睦子さんが、日本の懐かしい歌を唄い、会場を盛り上げた。

 なお、市川利雄さん(アリアンサ富山村生まれ、JBIC国際協力銀行プロジェクトコンサルタント、情報伝達テクノロジー部門教授)は、式典にあわせて、移住百年記念誌「富山県からブラジルへ」(葡語版完、日語未完)を執筆発行した。

top立山フレンド会との対談

 これまで、ブラジルから県費留学生(64年以来61名)又は技術研修員(74年以来159名)として富山県で学んだ経験のある人たちのうち、約30名が参加し、富山県側からは石井隆一知事、鹿熊正一県議会議長ら行政関係者が出席して、対談の機会が設けられた。

 留学・研修の経験者らは、各自それぞれ、富山での研鑚が今日の自分の専門的職業での活躍及び地位の確立のために非常に大きく寄与していることを強調し、知事に対し、是非とも、留学・研修制度を継続してもらいたい旨を熱心に述べた。

 石井知事は、何らかの形で制度は維持することを約束され、鹿熊議長は、県の制度の継続を応援していきたい旨を述べられた。

在亜県人会との交流

在アルゼンチン富山県人会 交流会 在亜県人会での仲副団長

 訪問団は、イグアスを経由して、8月3日火夕方、ブエノスアイレスに到着し、休む間もなく、在アルゼンチン富山県人会との交流会に臨んだ。
 現地からは、川滝幾郎県人会長、村藤修副会長はじめ、約50名が参加して交流した。とくに、留学・研修の経験者(栄、西村、岡本、芦屋、山本さん)の中には、女性も、多数出席して、和やかに懇談した。北日本民謡舞踊連合会の郷土民謡が披露され、プロのタンゴと張り合う形になったが、決して引けはとらず、レストランの支配人以下の従業員たちが異国情緒の音楽と踊りに興味を示し、褒め讃えてくれる一幕もあった。

ペルー県人会との交流

南米親善訪問団 ペルー県人会 交流会 ペルー県人会の万歳

 2010年南米親善訪問団は、最終日にリマ市の日秘文化協会会館においてペルー県人会との交流会に臨んだ。ペルーへの移民に伴う苦難の話しは、クスコ等への往復の旅行の中で現地ガイドから良く聞かされ、学ぶことができた。県人会長の高野ファウストさん及び弟の高野ジュアンさんは、共に医師で、もう一人の司会進行役のファン・ホセ・ボニジャ氏もJICAペルーの顧問医であった。前会長の林静生さんは、元富大付属小の音楽教師で、ペルー日本人学校に派遣され、そのまま移住した。
 訪問団の声楽家岡田睦子さんの恩師で、最後には、訪問団員と参加者全員で「赤とんぼ」を合唱するなど、和気合い合いであった。
 ここでも、北日本民謡舞踊連合会の竹氏修さんら10名による郷土民謡が披露され、最後まで素晴らしく盛り上がった。
 2010年南米親善訪問団は、このように所期の目的を果たし、8月9日月夕方に帰県した。

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